欲望解剖

 テレビなんかで最近有名な、脳科学者、茂木健一郎先生の名前につられて買った本なのですが、共著の田中洋先生の話も面白かったです。
 買った理由は、脳科学から見た、マーケティングの考察を読みたかったからなのですが、マーケティングを専門にしていらっしゃる田中先生の話を読んで、欲望について、まじめに考えてしまいました。
 これまで、欲望とは何かと、まじめに考えてみたことはないような気がします。話の流れで、いろいろな場面で、欲望という言葉が出てきますが、欲望とは、と聞かれると、ちゃんと答えることが出来ないような気がします。
 マーケティング用語でよく出てくる、ニーズとウォンツそれにデマンドという言葉があります。この定義は、田中先生の場合、ニーズが、人間の基本的な要求(例えば、食欲とか性欲など)。ウォンツは、ニーズを満たす、商品やサービス。そして、デマンドは、それらの提供形態のことを指すようです。このよな形態の場合、人為的に操作できるのは、ウォンツとデマンドの部分で、いかにこれらを使って刺激して、ニーズを満たして行くかが議論になるようです。
 これらの考えの基本には、ニーズという考えが不可欠ですが、このニーズは、何々がないという考え方が基本になっています。これは、欠乏していることによる欲求とでも言えばいいのか、ないから欲しいという欲望が元になっています。
 ところが、最近では、この”ない”ということが満たされてきています。少なくとも、物理的な物に対する欲求は、かなり満たされてきてしまいました。そんな現状では、最早、この考え方では、通用しないのかも知れませんね。
  
 ということで、いろいろと話が展開して行くのですが、そんな、話を読みながら、まじめに欲望について考えたら、何か答えが出るのだろうかと、迷走してしまいました。
 結局、答えは、よくわからないのですが、人間の欲望とは、とても興味深いことなんだと気づいただけでも、収穫でした。
 ぼくは、欲望という観点から、物事を見たことがないような気がします。これから、こういう視点も気にしながら、いろいろ考えてみたいと思います。

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