日本と専門的技能

 池田信夫さんのブログに、「教育改革はなぜ失敗するのか」というエントリーが掲載されています。教育改革については、あまり関心がないのですが、ドクターの就職難という奇妙な現象については、興味がありました。正に、ここに書かれていることが原因なのではないかと、思います。
 以前、転職活動をしていた時に(今もしているのですが・・・)、エージェントの方に、専門性よりも人間性が大事というようなことを言われたことがあります(もうかなり前になりますけど・・)。このことは、複数の方に言われたことなので、ぼくたちの業界では、常識に近いことなのかも知れませんが、かなり違和感を感じました。
 専門的技能は、そう簡単に身につくものではありません。それなりに苦労して、身につける技能なのに、よくよく考えると、そんなもの必要ないと言われていることと同じということになります。これって、ドクターの就職難と同じことなんじゃないかと、上記エントリーを読んで思いました。
 日本では、専門技能を有したものを使いこなす土壌がないように常々感じていたのですが、このエントリーの中で、

日本の企業のガバナンスは資本主義の原則である所有権(ownership)による支配ではなく、長期的関係にもとづいた会員権(membership)による支配だから、大事なのは組織に忠実で協調性の高いことで、専門的技能は必要ないのだ。

と書かれていたのを読んで、少し、納得してしまいました。日本では、専門職を生涯の仕事として、全う出来る環境がないような気がします。必要なのは、能力ではなく、協調性。ぼくは、これに少し嫌気がさしているのかもしれません。
 なぜ、そんなことを思うのかというと、「今の組織に忠実で協調性の高いこと」では、何も生み出せないと思うからです。もう少し言うと、生み出したものに対して評価されないから、大多数の人がそういうことをしなくなる世の中になるのではないかと考えてしまいます。
 今あるものを維持するだけであれば、忠実なしもべが居ればいいのかも知れません。むしろそういう人が重要な役割を果たします。でも、それは維持であり、時が経てば、衰退してくしかありませんよね。それでも、維持するべきものは維持していけばいいと思うのですが、全てがそうなると、とても将来に不安を感じてしまいます。今の大企業は、こういうところを構造から変えて行かないと、将来、大変なことが起こると思うのは、考え過ぎなんでしょうか?
 少し、愚痴っぽくなってしまいましたが、いろいろと考えさせられたエントリーでした。