売り方は類人猿が知っているを読んで

 またまた、随分間が空いてしまいました。1回、からっぽになると、なかなか復帰するまでに時間がかかってしまいます。一回忙しさに捕まってしまうと、なかなか抜け出せませんね。
 さて、もう、随分前の話になってしまったのですが、最近、読み終わった本の話でもあるので、最近知った、ルディー和子さんの話でも書いてみようかと思います。
 糸井さんが、ほぼ日の今日のダーリンで、「売り方は類人猿が知っている」という本を紹介されたことがありました。それをみて、興味が沸いたので、読んでみたいと思い、本屋に行ってみたのですが、残念ながら見あたらず、それから数日が経ってしまいました。忘れた頃に、その著者であるルディー和子さんという方との対談が始まって、それを読んでたら、また興味が沸いて来たので、早速、買って読んでみました。
 マーケティングや、宣伝、売り込みなどなど、売るということについて、考えるようになって、最近思うことは、結局、売る相手である、お客さんのことをよく知る必要があるのかなと。そして、それは、結局、人という生き物について、知るということなのかも知れないなと。つらつらと考えています。
 対談の中で糸井さんが、

広告屋やってるときから疑問があったんですよ。
誰でも、うまいものはうまいし、きれいだなぁって思うものはきれいなのに、魂がふれるような感覚っていうのを、みんな、つかむことを諦めて、細分化したターゲットだ、セグメントだ、マーケティングだっていうところに行っちゃってる。
それはマーケッターの仕事を増やしてるだけで人にためにならないなっていう気持ちが、広告をやってるときからずーっとありました。
さて自分がいろんなことを決定してもいいという場所に立ったとき、誰が見てもいいものを狙えるように、だんだんなってきたんです。

と仰ってます。
 ぼくは、こういうある1つの人間の集団で共通している価値観ってなんだろうと考えることがあるのですが、この答えを、人類の歴史から紐解いてみるというのは、面白い試みかも知れません。
 人が誕生して以来、劇的に進化し、変わってしまっているなら、あまり意味がないかも知れませんが、根本的なところは、何も変わっていない。寧ろ、周りの状況のほうが、劇的に変化してしまっていて、人がそれについて行けてないのではというルディーさんの考えかたは、面白いと思います。
 ルディーさんの本は、社会学や、心理学だけでなく、最近の脳科学による裏付けを元に理論展開されているので、それなりに説得力があって面白そうです。
 脳には、類人猿をはじめ、種々の動物たちがもっている、生きるために進化してきた恐怖などの基本的な感情を司る大脳辺縁系と、思考ができる新たに付け加わった機能を持つ大脳新皮質があり、決定においては、この両者の比重のうち大きいほうが選択されるという考え方は、なかなか面白いと思いました。
 意識化での決定は、大脳新皮質が勝った場合で、よく考えた末に出した結論は、このパターン。でも、頭ではわかっていてもとか、なにも考えずに、ぱっと見て決めるとかの場合は、大脳辺縁系が決定の要素を握っている。大脳辺縁系の処理は、必ずしも大脳新皮質には上がらないので、無意識下で行われる場合もあり得ます。だから、考えとは逆の行動をとることもあるし、なんとなく好きとか嫌いという第六感みたいな感覚になるのかも知れませんね。
 実は、この無意識下での行動というのは、全ての決定は意識化のもと、合理的に選択されるという前提が通用しないことを意味してますよね。
 まだ、よく知らないのですが、最近よく目にする、行動経済学というのは、この辺りを考慮した考え方なのでしょうか?そうであるなら、ちょっと、興味が出てきました。
 すぐにとは行きませんが、ぼちぼち、勉強してみたいと思います。

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